BBRK 03-12-29


HP200LX → SL-C750、アドレス帳編  

10月から始まった多忙にかまけて、ず〜っと先送りにしていたアドレス帳(HP200LXではPhone Bookという)データの移行作業ですが、仕事が休みになってようやくまとまった時間が取れるようになりましたので、重い腰を上げて作業に取りかかってみました(笑)

まずは、方法の模索です (^_^;;
偉大なるTIPS集があってそれを見れば何も考えずに移行ができる、とか、一発で移行できるツールがある…というほどにリナザウコミュニティは活発ではないんですね(苦笑)

Microsoft Outlook to HP LX Converter」と SL-C750に付属している「Intellisync for Zaurus」を使えば、

HP200LXのPhoneBookデータ PCの Outlookのデータ SL-C750 のアドレス帳データ

のように Outlookを経由してコンバートすることが出来るようです。
これなら比較的手間も掛からずに処理できますが、個人的にツールまかせというものはとても心配でためらってしまいます(苦笑)
というのも、HP200LXの PhoneBookは柔軟にカスタマイズすることができる(LXが多くの人の心を捕らえて離さないのはここにある)ため、さまざまなケースを想定しキチンとコンバート出来るように作られているのかがとても不安だからなのです。
ということで、今回はこの方法は使いませんでした。

今回使った方法は、HP200LXのデータをユーティリティーを用いて CSVに変換し、それを SL-C750のアドレス帳データに、別のユーティリティーを使って追加するという方法です。
先ほどの方法が Outlookというフォーマットを介していたのに対し、この方法では CSVというフォーマットを介します。CSVとは、いわゆるテキストファイルで、カンマなどでデータが区切られている、アレです。
テキストファイルなので、データの欠落やフィールド違いなどのミスが目で見て確認できるのでとても安心です。また、CSVでのインポート/エクスポートの手段を確立しておけば、他の PDAに移行するのもラクになります。

HP200LXのPhoneBookのデータを CSVのテキストファイルにするには、APPTOUT というフリーソフトを使います。
そして、取り出した CSVファイルを SL-C750のアドレス帳データに登録するには、zdbat というフリーソフトを使います。

さて、HP200LXのデータから変換した CSVはそのままでは zdbatの対応しているフォーマットとはフィールドの並びなどが合いませんので、CSVを編集して合わせます。編集ソフトには Excelを使いました(笑)

Excelは CSVファイルの読み込みも書き出しもできます。ただし、読み込むファイルにあるフィールド値をくくるダブルクオーテーションは、書き出しの際にはあるフィールドを除き削除されます。
あるフィールドとは、その値にカンマや改行コードを含むフィールドです。勝手に削除されるのはあまり気分のいいものではありませんが、今回の使い方では実害はないので気にしないことにします(笑)


では、実際の手順です。

HP200LXのPhoneBookのデータを CSVに変換する。

Windowsで DOSプロンプトを開き、

C:\>APPTOUT -x PETEPHON.PDB -c2 -n0 > LX.CSV

を実行。
オプションの意味は次の通り
-x(filename): 入力ファイル名の指定(必須)
-c2: カンマ区切り+""で出力(デフォルト)
-n0: NOTEの情報を「改行コード」そのままで出力

全てのフィールドがダブルクォーテーションで囲まれた CSVが得られます。

次にこの CSVを zdbatが扱える CSVになるように編集します。

zdbat を使おう から「便利かも?しれない テンプレート」をダウンロードし名前を work.csvなどに変えてから、Excelで開きます。
LX.CSVも同時にひらき、両ファイル間でデータのコピーペーストを行い編集していきます。

work.csvの上から 2行目に、フィールド定義の簡単な説明がありますので、それを見ながら、LX.CSVの各行を work.csvの対応する行にペーストしていきます。
さらに、zdbat公式サイトの データベース定義 - AddressBook も参照し、必要なフィールドにデータを入力します。

私が入力したのは、次のフィールドです。

・FULL ‥ 表示名: 漢字の姓名を入力
・LNME ‥ 個人名(姓): 漢字の姓名(FULLと同じものを入力)
・LNPR ‥ よみ(姓): よみがな
・NAPR ‥ 表示名(よみ): よみがな(LNPRと同じものを入力)
・CPS1 ‥ 携帯電話
・TEL1 ‥ [自宅]TEL
・FAX1 ‥ [自宅]FAX
・HSTA ‥ [自宅]都道府県: 手入力した(笑)
・HCTY ‥ [自宅]市町村
・HSTR ‥ [自宅]番地
・HZIP ‥ [自宅]郵便番号
・MAL1 ‥ メールアドレス
・MEM1 ‥ メモ: 改行入力OK

アドレス帳アプリは名前のソートに NAPR を見ているようなので、ここにデータを入れておきます。なお、NAPR はそのレコードの編集時に LNPR と FNPRから自動的に更新されるようです。それゆえ、LNPRにもデータを入れておきます。
これと同様なのが FULLです。このフィールドはアドレス帳アプリでレコードを修正した時に LNME と FNMEから自動的に更新されるようですので、LNMEに同じデータを入れておきます。

住所は都道府県を手入力しましたが(笑)、HP200LXでは一つのフィールドとなっている住所データを市町村と番地のフィールドに分けるという作業はしませんでした。フィールド名としてはこうなっていますが、中身のチェックなどはなく入力できる情報に制限などがないからです。なによりも、バカ正直に分けたところで何かメリットがあるとは思えませんから。表示されるときは両フィールドは連結されちゃいますし。

MEM1 には改行コードを入れることができます。HP200LX内で改行付きで作られたデータなら、Excel上でも改行されていると思います。
ただ、改行コードに相当する部分にゴミが表示されているんですよねぇ。これは気になりますが、CSVに書き出すとなぜか消えてしまいますので気にしなくてもいいようです(笑)

work.csvの編集で重要なのは、1行目にある、CARDID,CATEGORY…の行を消してはならないということです。この行をヘッダとしてフィールドの属性を zdbatに教えているので、これがないと全く変換できなくなります。

次に、アドレス帳データに CSVのデータを変換(追加)します。

Excelでの編集が終わったら、このファイルをフラッシュメモリーカードに入れて SL-C750に持っていき、ターミナルを起動、カレントディレクトリを work.csvのあるところに移動して、

$ sed 's/^[ 0-9]*,/0,/' work.csv > import.csv
$ zdbat address -w -c ShiftJIS < import.csv > zdbat.log

を実行します。
zdbat.logに処理結果が入ります。エラーではじかれたレコードの先頭には -1が書かれていますので、いちおチェックしておきましょう。
zdbatは改行コードとして、LFはもちろんのこと CR+LFもキチンと認識するようなので、work.csvの改行コードを LFに変換する必要はないようです。

さて、アドレス帳を立ち上げて中をチェックしてみてください。zdbatでエラーが出なければ、データがきちんと表示されることと思います。

ここからは、便利に使うための工夫のご紹介。

さて、これでようやく HP200LXのデータを SL-C750に移すことができました。
ずいぶん手間を掛けて移行したものの、ザウルスのアドレス帳って、データを探すのがとても面倒です。
例えば、鈴木というひとを探す場合、「さ」をタッチします。すると「さ」から始まる名前のところにカーソルが移りますので、そこからカーソルキーで「鈴木」というデータが出てくるまで探していかないといけないのです。
もう少しラクをする方法もあります。50音ボードで、目標により近い位置に頭出しを行う方法です。50音ボードを表示させて「す」をタッチすれば「す」で始まる名前までカーソルがジャンプするようになります。「さ」よりは近くなりますが、探す作業はやはり必要です。
探す手間もそうですが、50音ボードを出したり引っ込めたりというのも面倒このうえないです。さらに、これらの処理はキーボードでは全くできないというのも面倒さ煩雑さに拍車を掛けています。

HP200LXの PhoneBookが便利だったのはカスタマイズできることもそうですが、なんと言ってもインクリメンタルサーチが出来るというところです。
それと同じことを SL-C750でも出来ないものか、と試行錯誤したところ、なんのことはない、NAPR(よみがなのフィールド)にローマ字で入れておけば実現できることがわかりました。

そこで、先ほどの work.csvを再度 Excelで開き、NAPR と LNPRに既に入力されているよみがなを、ローマ字に打ち直しました。
私のアドレス帳はレコード数が 335件もありますが、PCならキー入力もラクなので作業は苦ではありませんでした(笑)

ローマ字なので、アドレス帳アプリでの分類は「abc」のところになりますが、特に不自由はありません。
アドレス帳を開き、suzuki とキーボードから入力するとカーソルが「鈴木」の上にスッと移動する。いや〜便利。やっぱ PIM はこうでなくちゃね(笑)


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