BBRK 09-02-18


DVDオーサリングのワークフロー(HDR-SR11編)  

[分類] ビデコ(笑)

1枚の DVDをこしらえるのに、こんなに手間掛けてまっせ〜!! ということを、ダラダラ解説してみようかという思いつき企画(笑)

BBRK 読者にはビデコも少なくないハズ(笑)ということで、参考になるかどうかわかりませんが、あたさこんな手順でやってますよ〜ということで、書き残しておきます。
「へぇ〜」とか「ふ〜ん」くらいのリアクションにはなるハズ(笑)

# ま、ほとんどのひとはスルーでしょうな(苦笑)

全ての処理をパソコン上で行います。ウチのパソコンのスペックは こんな感じ です。

編集ソフトは「EDIUS neo」。
オーサリングソフトは「TMPGEnc DVD Author 3 with DivX Authoring」(TD3D)。

+   +   +   +   +

では、撮影したものをDVD-VIDEOにするまでの手順(ワークフロー)を説明してみます。
具体的な数値が出てきますが、とあるスクールのボーカル発表会で撮影した素材での数値になります。
こう書くと多少興味がわくでしょ?(笑)

使用ビデオカメラは SONY HDR-SR11。
DVDにする前提での撮影だったので、HD(ハイビジョン)ではなく、SD(標準解像度)で撮影。
全編を撮りっぱなしというわけではなく、必要なひとのみ撮影し、それ以外は撮らずに電源をオフにするという撮り方で、撮影後のカメラの HDDには撮影した人数分の動画ファイルが出来ているという状態です。

項目で列挙すると次のようになります。

■手順概略

  1. 撮影する。
  2. 動画ファイルをパソコンに転送する。
  3. 編集ソフトで編集する。
  4. 編集済動画をオーサリングソフトに取り込み「とりあえずDVD」を作成する。
  5. オーサリングソフトで「とりあえずDVD」を取り込み、チャプターとメニューを追加し、DVDとして書き出す。
  6. 出来上がった DVDをパソコンの DVDプレーヤで再生確認する。
  7. 確認して OKであれば、DVD-Rに焼き込む。
  8. 焼けた DVD-Rを家電の DVDプレーヤなどで再生確認する。
  9. プリンタでレーベルにタイトルや日にちなどを印刷する。

上の手順は、ガッツリ編集するし、撮影時の動画レートそのままでは DVDに収まらない、という場合のフルコース例でして、常にこれだけの手順を踏んでいるわけではないです。
例えば…、
・簡単な編集(不要部分をカットするだけ)で済むような場合は、オーサリングソフトで十分対応できるので手順 3は不要。
・撮影したレートそのままで DVDに収まるのであれば、手順4は不要。
といった感じで省略してます。

■手順詳細

手順1
撮影する際の録画モードはとりあえず最高画質の「SD HQ」(9Mbps)で撮影。記録メディアは HDD。
なお、後述する *2 のようなケースもあるので、それも考慮して録画モードを決定する。
とはいえ、このカメラにはレートの選択肢があまり用意されていませんが…。

手順2
カメラを USBケーブルでパソコンと接続する。
Windowsのエクスプローラで動画ファイルをパソコンの HDDにコピーする(*1)。
実測で、合計約9GBのファイル転送に掛かった時間は約8分。

*1
カメラに付属の Windows用ソフト「Picture Motion Browser」(以降PMB)を使ってパソコンに取り込まないといけないときがあります。
カメラ内蔵HDDのフォーマットの都合なのかわかりませんが、ファイルサイズが 2GBを超える場合は 2GB以内に分割されて格納されます。例えばサイズが 3GBになる場合は 2GB 1つと 1GB 1つに分割される、という具合です。
それらをエクスプローラでパソコンにコピーした場合、単体で再生する分には問題ないのですが、例えば、編集ソフトでファイルをつなげると、つなげた部分で音が一瞬ミュートされてしまうんですね、映像のほうはキレイにつながるのですが…。
連続して撮影していてもファイル格納の都合でカメラが勝手に分割してしまうわけですが、その分割点がキレイにつながらないのです。内部的に何かが連続していないのでしょう。
このような場合は PMBを使って取り込みます。PMB経由であれば、録画開始から停止までが 1つの動画ファイルに結合されてからパソコンに取り込まれます。もちろん、つないだ箇所で音が一瞬ミュートすることもありません。

常にPMBを使って取り込めばいいんでしょうけど、SR11の内蔵HDDはパソコンから普通にアクセスできるので、ついついUSBメモリ感覚でそのままコピーしてしまうんですな(苦笑)
エクスプローラでコピーしたほうが速度も若干速いようですし。

今回の例では、どの撮影も 1つの撮影時間が短く 2GBを超えないため、エクスプローラでお気軽コピーで済ませています。

手順3
転送した動画を素材として編集。ガッツリ編集するので EDIUS で編集。
編集内容は、不要なところのカットとシーン間にトランジションを入れるなど。
編集箇所が多いので、編集作業には約3時間も掛かりました(苦笑)。編集後の尺は 1時間50分36秒。
オーサリングは別ソフト(TD3D)で行うので、EDIUS から Canopus HQ AVIコーデックでファイルに書き出す。
書き出し時間は 14分。意外と時間は掛かりません。出来上がった AVIファイルのサイズは 19.7GB。

手順4
後述する理由(*2)により、TD3D にて「とりあえずのDVD」を作成する。
具体的には、新規プロジェクトに AVIを取り込み、DVDメニューなしで DVDを作成する。
所要時間は(2パス VBRにて)2時間20分。動画がフルレンダリングになるため時間が掛かります。
SR11のSD解像度動画はDVDのMPEGと互換性があるので、撮影時のレートのままで DVDに収録できるのであれば、スマートレンダリングになるので 4〜5分で済むのですがねぇ…。
ちなみに 9Mbpsでは 1枚の DVDには 60分までしか入りません。
編集後の尺が撮影時点でわかるのであれば、逆算してレートを決めればいいんですが、この場合はそうではなかったのでしかたがありません。
DVDプレーヤで再生できるもの(VOB形式)が出来上がる。ファイルサイズの合計は 4.1GB。

手順5
手順4で作成した(パソコンのHDD上にある)DVDにチャプターとメニューを追加する。
まず、DVDファイル(VIDEO_TS)を TD3D の DVD取り込み機能で取り込む。
そして、次の作業を行う。
・出演者単位でチャプターを分ける
・DVDメニュー(トラックメニュー)を作成する

作業が終わったら DVD書き出しを行う。
動画はスマートレンダリングとなるため、4〜5分で終わる。
ここで出来上がった DVDが最終品となる。ファイルサイズの合計は 4.1GB。

*2
ここで、手順5において「とりあえずのDVD」を作成する理由を説明します。
DVDを作る際のこだわりとして、目的のチャプターにすばやくアクセスできるよう、メニューのチャプター一覧に出演者名を入れるということをします。ですので、メニュー作成には結構な手間が掛かるんですな。
そして、手間が掛かるということは、ミスもしやすいということです。
ミスがあれば、修正して再度 DVD書き出しを行えばいいのですが、TD3D には、DVD書き出しの際、変更のあったメニュー部分のみ再作成し、変更のない動画部分はそのまま利用するといった機能がないので、メニュー部分の変更だけなのに、動画の再作成も行ってしまうんですね。
つまり、このケースでは、1文字直しただけでも DVD再作成に 2時間20分掛かってしまうのです。
これでは効率が悪すぎるので、メニュー作成前に動画のみ DVD規格に合うものにしておきます。
動画が DVD規格に合うものになっていれば DVD作成時にスマートレンダリングとなり、再作成を行うことなく処理が終わるので大幅な時間短縮になります(約4〜5分で済む)。
絶対にミスをしない、一発勝負でうまくやれてしまうひとであれば、このような手順は必要ないと思いますが、少なくとも私には無理ですので(笑)、このような手順を踏んでいます。
SR11の SD動画は、そのままで DVD規格に合う動画で、再エンコードせずに DVDに入れることができますが、DVDに収めるためにレート変換を行ったりすると、フルレンダリングになってしまいます。
なお、動画がフルレンダリングにならない(撮影時のレートのまま DVDに収まる)のであれば、「とりあえずのDVD」を作成するには及びません。撮影した素材をそのまま TD3D に取り込めば OKです。

手順6
出来上がった DVDをパソコン上の DVDプレーヤ(PowerDVDなど)で動作確認する。
チェックポイントは、メニューのミスタイプや、チャプター名と内容のズレ、そしてボタンのリンクなど。
ボタンのリンクというのは、あるボタンにフォーカスがあるときに DVDプレーヤの↑↓→←ボタンを押したらどこにフォーカスが移るかというルールをオーサリングソフトにて自由に設定できるのですが、設定抜けで意図しないところに飛んでいないかどうかをチェックします。

手順7
手順6のチェックで問題があれば 5に戻り、問題がなければ DVD-R に焼きます。
焼き込むのはDVDドライブに付属の焼き込みソフトを使えば OK。
焼くのに要する時間は、ベリファイ処理付きで約8分。

手順8
DVD-Rが焼けたら、デジタル家電の DVDプレーヤで再生確認を行ってみます。
手順7でチェックしているので普通問題はありませんが、特に、他人に焼いて渡すという場合には念のためチェックしておいたほうがいいですね。
というのも、パソコンのプレーヤでは OKなのに、家電ではダメという不具合があったりするんですな。
憶えているものを一つ挙げると、メニュー画面にチャプターを多く配置したときにフォーカスが出なくなるというのがありました。フォーカス位置は意図どおりに移動しているけど色が変わらないというもので、操作しにくいのでチャプターを減らして作り直しました。

手順9
印刷には、ディスクレーベル印刷用トレイを持つキヤノン PIXUS iP4300 を使用。
レーベル作成にはプリンタ付属のソフトを使ってます。

+   +   +

上述の例はガッツリ編集する例でしたが、例えば最も簡単なケースで、

・撮影レートのままで DVDに格納(再エンコードなし)
・編集は録画開始停止付近の不要部分をカットするだけ
・メニューはシンプル
・レーベル印刷もシンプル

のような場合であれば、

・動画ファイルをパソコンに転送する 10分
・オーサリングソフトでカット編集&チャプター分割&メニュー作成 20分
・DVD書き出し 5分
・DVD焼き込み 10分
・レーベル印刷 5分

てな感じで、1時間弱 で出来上がっちゃいます。

以前は DVテープで撮影し DVDレコーダで DVD作成するということをしていましたが、それと比べると、大幅な時間短縮です。
例えば、撮影時間 1時間の尺のものであれば、DVテープから DVDレコーダに取り込むだけで 1時間かかりますし、その後の編集作業も DVDレコーダの反応はトロイのでパソコン上でやるよりも時間が掛かります。さらに DVDに焼くのもパソコンは 20倍速のドライブですが、レコーダは 4倍速程度なのでかなり遅いです。
時間短縮なだけでなく、手間も減るし操作もラクなので、もう旧スタイルのワークフローには戻れません(苦笑)

■関連記事
BBRK 08-10-31 : TD3D & PgcEdit で DVDオーサリング


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