BBRK 12-03-04


TAW5 でのエンコード時間と画質(笑)  

[分類] 映像編集系

めちゃ久しぶりなビデコネタです(笑)

BBRK には書いていませんが、2/11に TAW5(TMPGEnc Authoring Works 5)をダウンロードで購入しまして、実験していました。

TMPGEnc のオーサリングソフトも TAW5 になってようやく H.264(MPEG-4 AVC)でオーサリングできるようになりまして(←TAW4 登場時からの悲願っすよ〜)、さらに高画質な BD を提供(…って誰に?(笑))出来るのではないかとワクワクしています(笑)

ですが、H.264 のクセというか、このソフトの場合、映像レートと画質の関係、エンコーディング時のパラメータによって画質にどんな差が出るのか…といったところを知っておかないと、無駄に理論上最高画質な設定でエンコードしてしまって長時間を費やしてしまうことになりかねません(苦笑)
後述しますが、最大で実再生時間の 24倍もエンコード時間が掛かるんです。やってられまてん(笑)

てなわけで、パラメータを変化させてみて、エンコードに要する時間と、出来上がったものの画質を比較してみました。

ここでエンコードに使った素材について説明を少し。
この実験のためにわざわざ撮り下ろし…なんてことはしてません(笑)
ORC200「歌姫ライヴ」を AG-HMC45 で撮影し、EDIUS で Canopus HQ に書き出したもの(1920x1080i、尺 5分)です。
夜になって暗くなった状態での、グループもの V&D ユニットのステージです。
歌姫ライヴは照明が弱く、客が焚いたストロボの影響をモロに受けます。ストロボが光った一瞬画面全体の色が変化するので、その部分は高い映像レートが必要となります。
また、暗いので高感度ノイズもかなり載っているため、これも映像レートを喰います。
さらに、ステージ上の被写体は歌って踊る系なので良く動きます。これも映像レートが多めに必要です。
つまり、歌姫ライヴは明るいウチはいいのですが、暗くなるとかなり撮影条件の厳しい現場なのです(苦笑)
しかも、毎回 4時間という長尺イベントなので、DISC 1枚に収めようとすると、レートもそれほど高く設定できません。
完パケを作るひとにとっては、とても条件の厳しいイベントなのです(爆)
そんなわけで、歌姫ライヴを攻略できれば、他現場はほぼ問題ないんじゃないかと(笑)

なお、私は花鳥風月(自然の風景)は撮影しませんので、撮るものはディテール濃度の低い映像ばかりです。
そっち方面をメインに撮影する方には、この記事はあまり参考にならないのではないかと思いますので、ご了承くださいませ(苦笑)

■実験1の結果
CASE符号化パフォーマンスエンコード時間比(実測時間)
01CABACとても遅い23.98(1:59:53)
02CABAC遅い23.30(1:56:30)
03CABACやや遅い8.92(0:44:35)
04CABAC標準6.47(0:32:22)
05CABACやや速い3.40(0:16:59)
06CABAC速い1.99(0:09:57)
07CABACとても速い1.47(0:07:20)
CASE符号化パフォーマンスエンコード時間比(実測時間)
11CAVLCとても遅い18.44(1:32:12)
12CAVLC遅い17.79(1:28:57)
13CAVLCやや遅い8.06(0:40:19)
14CAVLC標準5.75(0:28:44)
15CAVLCやや速い2.96(0:14:47)
16CAVLC速い1.88(0:09:25)
17CAVLCとても速い1.42(0:07:05)

■パラメータ説明

CASE 01〜17 において、以下の設定は共通。
・映像
  下記設定でエンコーディング
  [コーデック] MPEG-4 AVC
  [レート調整モード] 2パスVBR
  [映像レート] 最大 38464kbps、平均 38464kbps
  [チャプター位置を Iピクチャーにする] Yes
  [シーンチェンジ検出] Yes
・音声
  スマートレンダリング

「符号化」とは、エントロピー符号化。製品付属のヘルプによると、
CAVLC は、CABAC に比べ計算量が少なくエンコードの時間が速くすみますが、圧縮効率が犠牲になります。CABAC は、逆にエンコード時の計算量が多いためエンコードに時間がかかりますが、圧縮効率の向上が望めます。
とのこと。同一レートであれば CABAC の方が画質が良いということです。

「パフォーマンス」という設定項目名では意味不明ですが、製品付属のヘルプによると、
パフォーマンスが遅くなるにつれ、出力される映像の画質は向上します。
とのこと。「とても遅い」が一番画質が良いということです。

「エンコード時間比」は実再生時間の何倍かという表記。素材は5分なので、例えば 10分であれば 2.0 です。

画質を比較してみた結果は、どれも同じで差異なし(笑)
オリジナルからの劣化も感じられませんでした。

■実験1の考察
ま、30Mbpsを超えるような高レートの場合は、パラメータがどうであろうが画質は同じということです(笑)
CASE17でエンコードすれば十分ですね。
さらに言うと、試していませんが、レート調整モードは「1パス VBR」や「CBR」でも画質は同じかもしれません。

+   +   +   +   +

さて(笑)、4時間の歌姫ライヴを BD(1層)1枚に収めるには、映像のレートはいくつにすればよいのでしょうか?
調べたところ、
・音声を LPCM 48kHz 2ch 16bit にするなら 映像は平均10900kbps
・音声を Dolby Digital 48kHz STEREO 16bit 448kbps にするなら 映像は平均12000kbps
となりました。

というわけで、上記 実験1 の平均レートを 12Mbpsに変えて、実験2 をやってみました。
素材は実験1と同じです。

■実験2の結果
CASE符号化パフォーマンスエンコード時間比(実測時間)
21CABACとても遅い12.69(1:03:28)
22CABAC遅い12.26(1:01:17)
23CABACやや遅い6.26(0:31:19)
24CABAC標準4.65(0:23:16)
25CABACやや速い2.51(0:12:33)
26CABAC速い1.77(0:08:51)
27CABACとても速い1.37(0:06:50)
CASE符号化パフォーマンスエンコード時間比(実測時間)
31CAVLCとても遅い10.22(0:51:06)
32CAVLC遅い9.78(0:48:53)
33CAVLCやや遅い5.72(0:28:36)
34CAVLC標準4.19(0:20:57)
35CAVLCやや速い2.30(0:11:31)
36CAVLC速い1.72(0:08:37)
37CAVLCとても速い1.33(0:06:40)

■パラメータ説明

CASE 21〜37 において、以下の設定は共通。
・映像
  下記設定でエンコーディング
  [コーデック] MPEG-4 AVC
  [レート調整モード] 2パスVBR
  [映像レート] 最大 38464kbps、平均 12000kbps
  [チャプター位置を Iピクチャーにする] Yes
  [シーンチェンジ検出] Yes
・音声
  スマートレンダリング

画質を比較してみた結果は、どれも同じで差異なし(笑)
オリジナルからの劣化は若干感じられましたが、その劣化レベルに差異は感じられませんでした。

+   +   +   +   +

■まとめ
実は…そもそもオリジナル自体が撮影時のレート不足によるモスキートノイズが気になるレベルだったのです(苦笑)
素材の選定ミスですね〜。もしこれが無ければ、実験2の劣化レベルに差を感じていたかもしれません。
後日、テスト素材を変えて再実験してみたいと思います。

いゃぁ、イマイチな記事で大変申し訳ありませんm(_ _)m(苦笑)
まぁ、パラメータを変えると、所要時間がどのくらいになるのかといった情報にはなりますよね。

それはそうと、2つの実験結果を比べてみて興味深いのが、平均レートを変えると、エンコードに掛かる時間が変化するということです。
MPEG-2 では平均レートを変えても変化がなかったので、新たな発見でした。

最後に、実験環境を書いておきます。

CPUIntel Core i7 2600K(3.5GHz動作)
MEMORYDDR3 PC3-12800 8GB
HDDHGST HDS722020ALA330
M/BGIGABYTE GA-Z68X-UD3H-B3/G3
V/C玄人志向 GF-GTS450-E1GH
OSWindows7 Pro 64bit
TAW5Ver.5.0.4.16

ハードウェアデコーダ/エンコーダとも不使用です。


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